全国料理業生活衛生同業組合連合会

日本料理とは

日本料理はフランス料理、中華料理と並んで「世界三大料理」の一つと言われておりますが、日本料理の最大の特徴は自然の食材に恵まれているということです。
これは、日本の置かれている地理的な位置が亜熱帯から亜寒帯まで細長くて、山川が非常に近くて、四季がはっきりしているということに由来します。
暖流と寒流が日本海、太平洋側に流れ込んでいますので、両方に住む魚が採れるとともに、その混ざり合った所が大変良い漁場になっているということもあります。
こうした魚介類に加えて、山の産物、里の食材を含めて、稀にみる食材の豊富さが日本料理の大きな魅力となっているのです。
したがって、日本料理はこの自然の素材の味を殺さないように調理されます。この点で、素材に外からの旨みを添加して食べる中華料理やフランス料理と異なっています。
なお、一口に日本料理と言っても、会席料理・懐石料理・*普茶料理・精進料理・*卓袱料理・川魚料理から始まり、うなぎ・天ぷら・ふぐ等の専門料理に至るまで、その形式や種類も多種多様です。これにしたがって料理店の方も、料亭・割烹・カウンター割烹・専門料理店などと多様に分かれています。

*普茶料理:中国式の精進料理。一卓四人掛とし、各人取り分けて食べる。著菜・生菜を主とし、これを油で揚げたものを佳味とする。
*卓袱料理:中華料理の日本食化したもの。各種の器に料理を盛って卓袱台の上に置き、各人取り分けて食べる。長崎料理。

料亭・料理店とは

料亭・料理店と居酒屋さんや一般飲食店との違いを一口で言えば、料亭・料理店とは単に和食の食べ物を提供するだけではなく、女将さんや仲居さん方のおもてなしが伴っている店ということです。そのなかでも特に芸妓さんが入って接待をする店を料亭と呼びます。
日本料理はもともと、個室での接待を基本としていますので、そこに仲居さんなり芸妓さんが居て、心のこもった「もてなし」を受けつつ料理を賞味してこそ、日本料理の本当の素晴らしさも発揮されてきます。
このようなお店は世界広しといえども日本以外にはありません。フランス料理にしても、お花などは飾るかもしれませんが、仲居さん、芸妓さんといった方の存在や、もてなし行為というものはありません。
また、最近ではグルメブームということもあり、純粋に日本料理の味だけを楽しみたいという方も出てきておりますので、接待を伴わない料理店もございます。ニーズに合わせてお選びください。

日本文化としての「おもてなし」

動物は食事をしますが料理を作るということはしません。料理を作って食事するのは人間だけです。
最近、飲食業界でも「サービス」という言葉に代わって、「ホスピタリティー」ということがしきりに言われておりますが、別に横文字を導入してこなくても、わが国にはホスピタリティーの元となる「おもてなし」という言葉と行為が存在するわけです。

料亭・料理店とは、お客様に最高の雰囲気と最高の気分で、美味しいお料理を食べ、楽しいひとときを過ごして頂くために気遣いをしています。そして、お客様に心身ともにリラックスしていただくこと、これが「もてなし」の趣旨です。
したがって、別に「もてなしのマニュアル」のようなものはありません。女将さん、仲居さん、芸妓さん等の「もてなしの心」があるだけです。

もてなし空間としての料理店の設(しつらい)

もちろん、「もてなし」のためにはその具体的な空間と道具が必要です。料亭・料理店の造り・備品などは、そのようなもてなし空間のしつらえとして存在します。
料亭や料理店の場合、その多くの店はレストランのように、玄関を入ってすぐに客席があるわけではありません。

まず、玄関前に*打ち水がされ、*盛り塩が置かれ、*蹲(つくばい)がしつらえてあります。玄関に一歩足を踏み入れますと、ほのかに香の香りがして参ります。東京ではほとんどなくなってしまいましたが、地方に行けば敷地の中に大きな庭があり、お部屋に向かう廊下からご覧になることができます。
部屋に入りますと、違い棚や書院などがしつらえられた床の間があり、格天井と鴨居の間には欄間があり、柱と柱とは長押(なげし)でつながっています。周囲には掛け軸、几張(きちょう)、屏風、生花等を見渡すことができます。これらは、近頃の個人の住宅ではほとんど見ることのできないものです。
料理を盛りたてる器としては、陶器・磁器・漆器・ガラス器・銀器・鉄器・竹など様々な素材を用いたものが、陶器であれば備前・萩・瀬戸など、磁気ならば九谷・有田など、漆器であれば輪島・越前・中山など各産地のものが、それぞれの季節や料理にあわせて出されます。このような食事も日常ではみられませんし、一般の飲食店でも行われておりません。

*打ち水:ほこりを鎮めたり暑さをやわらげるために、玄関先などに水をまくこと。又は、まいた水。
*盛り塩:料理店等で縁起を祝って門口に塩を盛ること。又は、盛った塩。
*蹲:茶庭等の石の手洗鉢(手水(ちょうず)鉢)。石の手洗鉢を低く据え、手を洗うのに脚がつくばう、うずくまることからこう言った。

もてなしのプロとしての女将・仲居・芸妓

最近は料理店の宴会でも、コンパニオンと称する女性の接待が増えておりますが、やはり料亭・料理店の伝統的なもてなしのプロとしては、女将・仲居・芸妓の右に出る者はないと思われます。
もちろん、コンパニオンにもそれなりの良さもありますが、仮にコンパニオンが和服で入ったとしても、和服の着こなし、立居振舞などには何かぎこちなさが残りますし、いわんやお酌・談笑に至っては雲泥の差が出てしまいます。

芸妓衆の磨き抜かれた踊りや唄、あるいはお座敷芸を楽しみながらプロのもてなしが受けられる料亭こそ、日本伝統食文化と芸能を楽しめる唯一の場所なのです。

今では、芸妓衆も減少しておりますが、まだまだこうした旧き良きもてなしの伝統は残っております。ぜひとも芸妓の入るお店で芸妓のプロのもてなしも体験してみて下さい。

お座敷芸としての邦舞・邦楽

近頃はカラオケが宴会余興の中心となっているようですが、料亭・料理店には余りふさわしくありません。やはり料亭・料理店に行ったら生の邦舞・邦楽に親しんでもらいたいものです。

主な楽器は三味線に鼓・笛・太鼓。唄は長唄・*清元*常磐津。踊りは花柳流・西川流・尾上流・藤間流・井上流など。芸妓さん達は日頃、*地方(じかた)*立ち方(たちかた)に分かれて、それぞれの師匠について邦舞・邦楽のお稽古に励んでおります。

明治に入って、わが国の音楽教育が洋楽中心になってしまったなかで、邦楽の伝統を今日まで伝えられてきたのは、ひとえに芸妓衆の存在が大きく寄与しています。
平成14年度から学習指導要録が変わって中学校の音楽授業に邦楽の時間が組み入れられるようになるようです。このようなご時世でもありますので、この機会に料理店で芸妓衆の邦舞・邦楽に触れ、道楽の一つとして三味線や小唄の一つでも覚えていただきたいと思います。

*清元:邦楽の1つで、浄瑠璃の清元節のこと。*常磐津:邦楽の1つで、浄瑠璃の常磐津節のこと。
*地方:舞踊で音楽を受け持つ人々のこと。 *立ち方:舞踊で舞いを演じる者のこと。


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